の哺育費というものは男の月給の中から職業組合を通して取られる。
 若しその男がずるくて女が補助費を貰えない場合は、裁判をして男の親があれば、その親の家から子供哺育費を取ることが出来る。
 併し土地には手を触れることは出来ない。何故なれば、土地というものは農業生産の基礎である、一農戸に属するものだから、土地を子供の哺育費に取るということは出来ない。
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 勿論ソヴェトでも社会的責任を理解して居る人間ばかりは居ないから、いろいろ間違ったことが沢山ある。
 だから自分の女房があっても他に女をもって居る。要するに妾だ。妾をもって居る人もある。
 併し形はそうであるけれども、女がそれによって、つまり男によって食わせてもらって居るか或はそれとも合意的に一時的に生産単位として独立して居る女が男とそういう関係を結んで居るかということで随分又社会的の意味は違って来る。
 現在の若い共産党青年、共産党女子青年、そういうものの恋愛に対する観念はどうかといえば、戦時共産主義時代は、社会が新しいものを創り、古いものを壊そうとする非常に激越した時代だった。だから恋愛というものに対する考え
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