して来ている。それが面白いことに、革命当時はプロレタリアートの叫び、それから解放されたプロレタリアートの喜び、悲しみ、そういうものを直截に、そのまま発表しようとする、そういう傾向が強かった。
 それが建設十何年という時になって来ると、いろいろ落付きが出来て来て、そこに研究する問題がいろいろ出来て来たわけで、それでインターナショナルのプロレタリアートの音楽というものと同時に、民族的なロシアの特徴を生かした音楽をも作らなければならないということをいいだして来た。しかしそれは決して国家主義的にロシア音楽の特徴のみを生かすという意味ではない。世界プロレタリアートの共通な感情をロシアはロシアの音を加えて表現しよう。そういう意味だ。
 それから絵、例えば絵画でも、プロレタリアート美術自身の自己完成というものと、民衆が自分達の表現を絵画的に会得するために、やっぱり労働者倶楽部に研究会がある。そこで展覧会を時々やったり、いろいろな美術展覧会の見学に出かけたりしている。
 けれども、ソヴェトの人間は昔からそうなんだろうけれども、音楽、文学の方が得手で、絵はそう大して得手ではない。それで却って木版、ウクラ
前へ 次へ
全38ページ中31ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング