ないものをもって来て、子供の空想の種としようとする努力をしないで、子供は日常の生活の中の自分達の周りのものでどんどん連想を発達させ、想像を逞しゅうすることが出来る。だから十二三位の子供と話して見ると、彼等の有っている知識が実に整然としていて、範囲が非常に広く、国際的であるのにびっくりする。無駄がない。
それからまた一方に、ソヴェトの教育は、労作と結び付いている教育である。だから例えば我々が学校で遠足に行く場合には、先生が、どこそこへ遠足に行くから金をいくら貰って、学校に何時にいらっしゃいということで、何行の汽車に乗るか、何分かかるか、東京から何マイルあるか、何にも知らなかった。
だけれども、ソヴェトの子供は自分達の委員でもって、遠足する場合に自分達で研究する。汽車はいくらかかるとか、モスクワから何マイルあるとかいうことを調べる。それだから我々より余程自分がどこにいるかということの地位の測定とか、それから距離との関係、都会と田舎との関係、そこにある生産というものをよく知っている。そうしてそういうことをさせる習慣をつくらせる。だから今のソヴェトの子供が本当に新しい時代の人間として発育
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