のために人間は十分その智慧を生活の便利のために獲得しなければならぬということ、そういうことを知らすために、印度人の子供がレントゲンを見たことがない、ソヴェト科学者とその息子が印度に暮していて、それの息子がふざけてレントゲンでうつすとインドの子供の手が骨ばかりになって見える。自分は死んだとワイワイ泣くと、電気が消えて、レントゲンが消えて、また元の自分になって印度人の子供が非常にびっくりする。それを見ている子供たちも、とても一生懸命だ。印度人の子供が安心すると、自分たちも一緒に安心して拍手喝采するというので、非常にいいところがある。
 それから同じ「印度の子供」の、宗教反対教育のために、印度の小さい女の子が変挺子《へんてこ》なお寺の人身御供みたいなものに上げられてしまう。そしてその友達の、レントゲンを見て驚いた男の子が助けてやりたいと思って、科学者の息子に助力して貰いにいく。少年は寺へ侵入して偶像は偶像であるということを明かにして娘を救い出す。ある場面では日本の壇の浦の遠見の敦盛みたいに、オートバイが舞台の前から出て、遠くまで行ってむこうの高い橋を小さくなって走ってくるところを見せる。そこ
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