学、ユーゼニックスは非常に社会的問題として注意深く扱われている。第一ソヴェトは昔から肺病の率が非常に多い。それから性病患者も勿論あって、そういうものに対して優生学から子供を、次の時代を改善して行くということは非常に熱心にやっている。成人、大人になった人間の健康状態を良くするという点、それから子供を出来るだけ丈夫に育てること、それには林間学校を拵えたり、工場付属の療養所、それから転地療養、それから現在は病気になっていないけれども、このまま働いて行けば病気になってしまうという人達は、昼間は働くが、仕事が済むと夜間療養所というものがあってそこへ行く。そこで風呂へ入れてくれる。栄養になる食物をくれる。そして必要な温度のある部屋で休んで、また翌日昼間働いてこれを一定の期間繰返して行くうちになるべき病気にならずに済む。
 ソヴェトの今の衛生の目標は予防ということ、病気になったものを手当するより、ならない前に手当するという主義で熱心にやっている。それだから子供でも赤ん坊の時に注意すること、それから生れる前に注意すること、それから子供をもつより先にお母さんが自分の衛生に注意する。こういう風に循環して健
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