ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三〇年十一月〕
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 現代のソヴェト・ロシア一般の社会現象及び芸術について話す場合、当然現在第三年目に入ったソヴェト生産拡張五ヵ年計画を根柢に於て見なければならない。五ヵ年計画によってソヴェトに於ける社会主義的社会建設の為め大飛躍と大努力を続けていると同時に、芸術の方面もこれにつれて最近二年間に種々のものを清算し内容的に新たなものを加えた。
 例えば、日本にピリニャークが来た時代はソヴェト文壇はよい作品を書く作家と云えば、大体、同伴者或は鍛冶屋派の作家であった。ところが、最近文壇の指導勢力は最も社会主義的社会建設の為に、ハッキリした理解と協力し得る最左翼の芸術団体であるプロレタリア作家連盟が握って来た。その中にいろいろ分かれて来て鍛冶屋派や構成派を合同しようとしている。だけど、合同する為には、各団体がイデオロギー的に清算しなければならないものが、たくさんにある。現にそうするべく努力し、試みている。
 今年の秋から今ま
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