ょう。が、又このよき場所であるが故に、一層俗悪に見えるその黄金が、何と云う幻滅を感じさせますでしょう。純白な面に灼熱した炬火を捧げて、漂々たる河面から湧き上った自由の女神像こそ、その心持につり合って居りますでしょう。
それだのに、何故、私たちの目前にある其は、此れも亦醜いと云う点からさほど遠くない金鍍金で包まれて居るのでございましょう?
アメリカの婦人は、神位にまで近づきます、けれども、「黄金の死」を死ぬのではございますまいか、私はこの二つの事実が、こちらの婦人の実生活をかなり辛辣に諷刺して居ると思うのでございます。
消極の極で暮して来た、否暮させられて来た、日本婦人に対して、生きて弾む生命を持って居るこちらの婦人の価値は、種々な形成に於て或時は余りに過重され、又或時には余りに価値以下に観られて居ると思います。其がどちらの場合に於ても、ロング、エスティメートであるのは明かでございます。
何故それなら、そう云う誤った観察をされるのだろうと思います。
此方の婦人と云えば、只一口に、何、アメリカのお転婆女は、男を圧迫して、暴威を振う事ほか知らないのだとけなす人もあれば、否左様ではな
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