体米国婦人の優越点を肯定した積りでございます。私は私共の持たない、若しくは持たされない権威の多くを所有する者、所有する価値ある者として、他意なく彼女等を尊敬致します。又自分等の将来に其等の権能を期待も致します。然し、私は、此からもう一歩進んで、其等種々の優越に就てもう少し深い省察を試みたいと思って居ります。其は私共に、或る力の存在の理論的価値と、実践的価値との間に何等かの逕庭の存する事、並びに、其等のより徹した運用に就て、何等かの教と暗示とを与えて呉れるだろうと思うからなのでございます。
(其五)
C先生。
考えるべき問題は非常に多く又深刻で、或意味に於ては、私の知識の欠乏と貧弱さとを表白するのみに止まりは仕まいかと云う杞さえございます。然し、或程度まで私は自分の信仰に信頼致します。今自分の斯くあり度い、斯くあるべきだと思う理論的、或は道徳的理想は、其の裡に何等か心直接の響を持つ事を信じます。私が専念に真剣になった時、心に燃え上る焔の明るさに総てを委せて、此を書き続けるのでございます。
私は先ず、第一米国婦人評に必ず附随する彼女等の「自覚」と申す事に就て考えて
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