る丈無我な態度で、私の観察し得た範囲の米国女性観を述べて行こうとするのでございます。斯様に広汎な問題を取扱う時、私共は如何うしても「一般」と云う点に其の目標を置かずには居られません。何処の国にも極端はございます。そして其の極は詰り人間の生活の極だとでも申しましょうか、哲人の価値は神の光栄でございます。痴人は人類の悲歎でございます。其故、私は真に徹した生活をして居る者の価値は、日常生活の風習の差異等を眼中に置かない共鳴を持つと信じて居ります。然し、私が此から観て行こうとするのは、一般でございます。中位《ちゅうぐらい》の一群でございます。私が故国の女性を思うと同じ一般の女性を語ろうとするのでございます。
第一、米国婦人の一般が、優秀な健康の所有者であると云う事は、何を以て否定する事も出来ない事実でございましょう。確かに彼女等の精力は、私共日本女性を超えて居ります。そして、彼女等の体躯が強壮であると云う事は、其裡に単に運動を重んじるとか、衣服が活動に便利であるとか申すより以上に深い根原を持つ事を知らなければならないと存じます。
或一民族の健康状態が、その民族の国家的境遇並に文明の程度と重
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