われらの小さな“婦人民主”
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四六年八月〕
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『婦人民主』が週刊紙として発刊されることになった。日本の明るい民主化のために、人口の半分どころか三百余万も多い婦人大衆が、どんなに重大な役割をもっているか。このことについては、婦人が急速に自覚しはじめているばかりでなく、心ある男子は皆ふかく理解している。
『婦人民主』の新らしい使命はふたとおりある。生々と、明日に伸びる婦人大衆の声をあまねくこだまして、まだ仄暗い封建のしきたりに閉されている隅々にまで、その活溌な響きを伝えること。同時に、日本の平和と幸福とのために、婦人の任務の価値を十分知っている有能な男子の社会活動の諸分野に、婦人の創意と批判とを参加させ反映させる公の機会の一つとすること。この二通りの作用をとおして、男子と婦人との真面目、積極な協働こそ、民主的な社会生活問題の解決の方法であることを学んでゆこうとするのである。
 日本の過去に、民主的な社会生活の経験がなかった。明治になっても、半ば封建であ
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