った。今日改正が問題となっている民法上の婦人の差別を見てもよくわかる。これは、日本婦人がおくれていることを語るばかりではなく、婦人のそのような低い地位によって日本の社会全体の低さを示すことであった。つまり男も女も不幸で無権利であったことを証明する。
この頃急に民主日本への翹望が語られるが、その解釈は、まだしっかりしていない。民主の社会という場合には、少くとも人権が確立し婦人の社会的地位の差別がとりのぞかれ、人種偏見から解放され、言論、出版、政治活動の自由のある社会を意味している。専制と封建の権力、習慣がとりのぞかれた社会、或は、それらの過去の鎖をすてようとする新鮮な大衆の要求に立つ社会をさして云うのである。民主的とは民主性そのものを毒す保守の特権や政治ブローカーと、目前の便宜から妥協したりすることではない。民主の方向は、歴史の発展から導き出されたそれ自身の誇りある性格に立っているのである。
『婦人民主』の特色は、婦人をくいものにするすべての営利出版に抗して、清純、良心的な立場から発刊される点である。あくまでも、真摯な婦人大衆との協働によって、この小さい『婦人民主』を、愛するに足るもの
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