ひとごとではない
――ソヴェト勤労婦人の現状――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三一年五月〕
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 ヨーロッパ戦争後、世界に婦人労働者の数は非常にふえた。
 日本では、男の労働者のほとんど半分の数だけの労働婦人がいる。それがどんな賃銀で働かされているかと云えば、誰よりも、読者自身がしっている! 男のとる金の半分ぐらいの金で、労力の搾取は男なみか、却ってそれよりひどいぐらいにされているんだ。
 最近のブルジョア産業合理化は、世界に四千万ちかい失業者をあふれ出させた。日本にだけだって、二百万人ばかりの失業者がいる。一九二九年の統計だと、日本全体の労働者は四百八十三万千八百十五人ということだ。すると、その半数は、失業している。資本主義のゆきづまりはひどくなるばっかりで、行手にあてのない世界四千万の失業者とその家族とが、目の前に餓死を眺めて坐っている。
 云うに云えないそのプロレタリアートの苦しい有様を利用して、資本主義国では、不景気がつのればつのるほど、弱い婦人労働者と年少労働者が、
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