トに羨しく思った。考えて見ろ。どこもかしこも清潔で、なめてもいいような産院は、まるで無料でプロレタリアの母のために開かれているのだ。しかも、無事に赤坊を産んで家へかえると、その産院から、その母子が住んでいる町の嬰児健康相談所へカードがまわって、それから後は一ヵ月に一度ずつ赤坊を診て貰える。無料だ。区、工場の内、新しい住宅で、托児所、幼稚園のないところはない。
 ソヴェトでは、次の時代の前衛、子供をよく育てるために最大の注意をはらっているといっしょに、婦人の文化向上のために、実に熱心に考えている。女に一番つらい洗濯、炊事、それを社会化するために、女に休みと勉強の時間を与えるために、大仕掛な厨房工場、洗濯工場が、ドシドシ出来てゆく。今、やかましく云われているソヴェトの五ヵ年計画は、ブルジョア反動家が宣伝するように、軍備拡張だけでは決してない。文化建設のために大きい予算をもって、例えば日本の教育費削減とは反対に、ソヴェトでは国庫負担の学校、托児所、教員がうんとこの二三年の間に増やされる。――
 ソヴェトの勤労婦人は、生産と政治の内へより積極的に参加するにつれ、社会主義の社会を建設してゆくこと
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