に何かが落ちかかって来るのを感じた。
 それからあとは男は何にもしらなかった。
 夢中の様な形をして道のない雪をけたてて走りさる男の人間らしい形は段々小さくなってたった一つの黒点になってころがって行った。

 最後に「こんちく生!」とどなった口をあいたまんま頭を石の間にはさんで男がつめたくなって居たのは翌朝でうえた烏は群れて丸くとんで居た。



底本:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
   1986(昭和61)年3月20日第5刷
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2008年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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