たびごと買うて来る
だるまのかずはサテサテまあ
このでっかいたなでさい
あふれるまでにのってある
丈の二尺もあるのから
五分ちょっきりのものまでも
ずらっとならんでのって居る、
いずれもそろってめっかちで……
ひげのおじさんはおねがいの
叶ってしまうそれまでは
眼玉は入れてやらぬと云う……
それじゃあおじさんが死ぬるまで
わしらはやっぱりめっかちだ、
師走の晦日におじさんは
古参の順に降させて
「この性わるなだるまめは
一寸も利益がないのみか
朝晩湯水をくらい居る」
ひとあしポーンとけってから
丁稚のおもちゃにやっちまう
さんざんけられてでこぼこに
なって中味の出た時に
かまどの地獄に
なげられる、……
だるまと生れたかなしさに
逃げ出そうにも足はなし
むざむざひどい目に合って
死んで行くのをまって居る
かなしい心をなんとしよう、
ひげの御じさんあんたはあ
何と云うどえらい御方じゃろう
新らしい内はちやほやと
どうぞ利益の有るようと
かってなことをいのり上げ
古くなったら三年目
かまどで地獄の目を見せる
何の利益がそれであろう
家がやけるか金玉が
倉から逃げるがい□□[#「
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