上
ジューたんの上におっこった
するといきなり骨ばった
でっかい指がニュッと出で
体を宙にもちあげた
そしてその手のもちぬしは
ズーズー声でこう云った
「なああんた、おらが先ごろ飼うて居た
七面鳥が大すきで
くれればきりがあるまいネエ、……」
棚のだるま棚下し
ひげのおじさん貴方はマア
何と云うどえらい御方だろう
朝でも晩でも欲の皮
つっぱりきったねがいごと
それかなわぬとあたりつけ
わしに湯水も下さらぬ……
片っぽ目玉のそめられた
棚のだるまさんの口こごと
何と云うばった御方じゃあろう
千両箱がふえます様
倉が沢山たちますよう
着物が沢山出来ますよう
とくいが段々ましますよう
おじさんのねがいはこればかり
何と云うばった御方だろう
めっかちだるまさんの口小言
棚の上から
棚下し
女房もらえば子が出来る
子供が出来れば金が入る
金が入っては大変だ
女房のきりょうがわるければ
店のかんばんにもならず
ただくうてねて金が入る
それでは事がめんどうと
ひげのおじさんは一人ずみ
御念の入ったばり方と
びっくりおどろくだるまさん
月に一度は大師さん
参る
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