徹底的に人類生活から根絶されなければならないことを主張した。そして、戦っている国と国との中の人間らしい勇気をもった知識人、勤労者たちは、その主張を表明した。戦争を欲するものの国際的連帯があるならば、その不幸を防ごうとするものの国際的な協力も当然生じて、第一次ヨーロッパ大戦は、はじめて、世界的に平和主義者の団結を与えた。フランスのロマン・ローランをはじめ多くの人類平和を守ろうとする人々はドイツのトマス・マンその他の平和を愛する人々と一つ方向にむすばれたし、オーストリアのすぐれた作家ルドウィッヒ・レーン(「戦争」の作家)「マリ・アントアネット」その他の伝記で日本の女性にもしたしまれている作家ステファン・ツワイグなどは、ドイツのレマルク(「西部戦線異状なし」の作家)フランスのアンリ・バルビュス(「クラルテ」の作者)マルチネ(「夜」の作者)アメリカのドライサア、アプトン・シンクレア、ルイスその他の作家たちと共に心から平和を欲し、戦争の原因を究明しその社会的原因をそれぞれの国においてより少くし、またはとりのぞくことで、戦争の惨禍を人類からなくしようという情熱で結び合わされた。遠いインドで行われて
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