述べたことは調書にもとられているが、これがどのくらい本当なのか自分は分らなくなった。」と第一の手記と異る第二の手記を提出した。
「(前略)以上にのべたことはすでに検事調書にも相川判事の調書にもとられています。そして、それがどのくらい本当なのか、自分は多分に検事の尋問に調子を合わせて色々しゃべって来たのでわからなくなりました。(中略)一ヵ月あまりせめられて、」「自分一人で志願囚となるよりは」「皆で背負ってゆくのも同じだと妄想し出し、十月十三日、二日ほど拒んだのですが、紙と鉛筆とをわたされ私一人の自白と同じような気持からスラスラ書いてしまったのです。翌日、自分一人ならまだしも仲間まで関係づけたことが悔いられ、さんざんたのんで撤回方を願ったが」「私の生命といわんよりは魂を救うために上申書は取消して下さいといったが駄目でした。」「八月二十日、私一人犯行説でも、私は自分の想像の供述に対し、検事の言により度々調子を合わせて述べているのです。」(一一・一六、毎日新聞)被告竹内は「新聞で見て大体検挙の想像で考えていた」ことや当直で見ていた当日の配車状態などから、供述しているのだった。「私は自分で自ら墓
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