。私はヒューマニストとしてこれと闘わなければならないと思い、よろこんで三鷹の弁護に立つものであります」という談話を発表した。
それにしても、この日、「被告の事情というものはほんとうにしらべにあたった検事さんが一番知っておりますが、そのときの表情や態度によってわかると思いますから、できればしらべにあたられた検事さんが一人でもよけいに出廷されることを望んでおります」(速記録による)といった竹内被告の立場はどういう複雑ないきさつをはらんでいるものだったのだろうか。三人の法廷検事のうち、取調べに参加していたのは天野検事一人である。検事一体ということがあって、取調べにあたっての主任検事であった田中検事ほか泉川、平山、富田、木村、屋代、磯山の諸検事は公判廷から姿を消している。
八月一日に検挙された竹内被告が、三鷹の電車暴走を単独行為として自供したのは八月二十日のことであった。八月二十六日、府中刑務所で、今野、岡村弁護人(当時竹内にも自由法曹団弁護人がついていた)が竹内被告に面会したとき、竹内被告との間に左のような問答が交わされた。
「わたしは先日、拘留開示の前におあいしたとき、ぜんぜんこの事件
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