ことは間違いであるが」、文学サークルは、その独自性を守って指導されるべきものであろうと提案した。
この提案に対して、幾人かの人が手をあげた。討論の中心は、文学サークルが経済・政治闘争と無縁であり得ないという点と新日本文学会の指導のもとにおかれるべきかどうかという点にむけられた。もし経済・政治闘争と無関係であり得ないということを肯定するならば、結局プロレタリア文学運動時代のサークルに戻ってしまうのではないかという質問が、いくつかの角度からだされた。そしてそれらの質問者は、発言に当って現に自分が労働者の中にあって文学指導をしている経験からおして、と前置きしていた。提案をうけもったわたしは、サークルと職場、組合などとの連繋は機械的には考えられない、政党や組合の活動が自由になったこんにちでは、そこに労働者のもっている文学能力がそのものとして役立てられる可能が見出されるだろうと答えた。こんにち新日本文学会で活動している当日の発言者は、四年昔をかえりみて歴史の足どりの速さにおどろかれるだろう。
三 展開のみとおし
第四回新日本文学会の大会は、第三回にくらべると、すべての点で
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