いない」と語った言葉は、世界のまじめな人たちの心に響いた。
 南原東大総長がワシントンの会議で、「民族とその文化の独立のためには、世界平和が確立されなければならず、そのために役立つ平和な日本の政治的独立が必要である」といったことは、日本人の真情を告げるものであるとして内外からうけとられている。
 日本の憲法の精神は、永世中立でなければ実現できないのは実際である。一家が詐欺にかかりそうになったとき、それをふせいだ母の機転、娘のかしこさがほめられるなら、人民全体の未来が国際的なおそろしい私慾の鍋にうちこまれようとするとき、それをふせぐ婦人たちの強い発言がどうして無視されていいだろう。わたしたちが望んでいるのは安心して生きられる日々である。その根本の希望からいって、こういう場合、しようがない、という言葉はなりたたない。[#地付き]〔一九四九年十二月〕



底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年6月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
   1952(昭和27)年1月発行
初出
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