でしょう。
「ええ、大抵四五日だって。
「じゃあ毎日家へ来て居らっしゃい。
「駄目よ。
辻さんの所へ行って居なけりゃあならないから。
「どうして。
ずうっと行ってるの。
「ええ帰って来るまで。
「まあ、そう。
そいじゃあ仕様がない。
ああ、そうそう、
この間木曜に大騒ぎだったんだってねえ。
貴女何ともなかったの。
心配したんですけどねえ、私も丁度工合が悪かったもんで行かれもしなかったけれど。
「なんでもなかったのよ、
彼那事。
伯父さん達があんまりな事を仕たんだから、あたり前だわ、あの位されるのは。
「そんならよかったけれど、
あの一寸前の日に貴女の所へ行ったんだけれ共、彼の人に追い帰されて仕舞ったのよ、
貴女が町へ行って留守だって。
「あらまあ、一体いつなの、それは。
この頃、私、町へなんかちっとも行かないのに、随分ね。
会わせない積りでそんな出鱈目を云ったのね。
「きっとそうなのよ。
私もそうだと思ったから何んでもない様な顔をして、
『そうですか』
ってさっさと帰って来た。
私がきっと捜したり何かするだろうと思って居るんですからね。
「ええ、そりゃ
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