]子はどこへ行きましたろう。
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と黒い中をすかし込むので出場を失った気味で居た※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は漸《ようよ》う次穂を得た様に出て行って、
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「今晩は。
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と御辞儀をした。
祖母丈だと思って居たらしいお関は年に合わない肝高な浮々した声を出して、
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「まあ何だろう、※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子さんも居らしったんですか。
そんな所に居らっしゃるんだもの、一寸も分りませんでしたよ。
さ此方へいらっしゃい。
ほんとにまあよく居らしったのね。
いつ東京からお出でなすったんです。
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と立てつづけに喋り出した。
※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は薄笑いをしたまんま縁側に腰をかけて背を丸めて煙草を吸いつけている祖母の傍に座った。
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「まあお※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]さん。
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と押しつけた様な声で云ったきり動いて来ようともし
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