、第3水準1−91−24]子の胸一杯になった。
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「まあ、まさか。
でも大馬鹿でも介いやしませんね。
彼の人が好きで自分の養子に仕たんだもの、
貴女には何にも関係がない。
ほんとに何にも関係がありゃあしないんだもの、
ねえ、お久美さん。
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※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は殆ど涙の出そうなまで悲しい気持になって居た。
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「ええ、そうでしょうよ。
[#ここで字下げ終わり]
お久美さんは非常に投げやりな口調で云うと、恐ろしく神経的に袂の先をピンピン引っぱりながら涙を一杯目に浮べて来た。
その様子を見ると※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は堪えられない様になりながら非常に興奮して、
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「お久美さん、貴女何か思い違いをして居ますよ。
あの人は只彼の家の息子になって来たので貴女にはほんとに何でもない人なんですよ。
貴女きっと自分について何か不安がってるんでしょう。
第一お関って云う人がそう事を運んで行く人じゃあありませんもの。
ほんとうに貴女
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