て自身の幸福への欲求をも自覚しずにいられないのだから。
 そこにこそ、このひとつらなりの長篇に力を傾ける作者の歓喜と信頼がかくされている。「二つの庭」は、人間の善意が、次第に個人環境のはにかみと孤立と自己撞着から解きはなされて現代史のプログラムに近づいてゆく、その発端の物語としてあらわれる。
   一九四九年六月
[#地付き]〔一九四九年七月〕



底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年5月30日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「二つの庭」新潮文庫、新潮社
   1949(昭和24)年7月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
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