あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)並木道《プリワール》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)小さな人々[#「小さな人々」に傍点]として生きつつある姿は、
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この第八巻には、主としてソヴェト生活の見聞記があつめられている。モスクワ印象記は、わたしがモスクワで暮すようになって半年ばかりたった一九二八年五月ごろ、書き終えられた。これを書いたのは、モスクワ市をかこむ並木道《プリワール》のはずれにあるアストージェンカという町の狭いクワルティーラ(アパートメント)の一室だった。「子供・子供・子供のモスクワ」は一九三〇年に、同じアストージェンカのクワルティーラではあるが、こんどは前よりもひろい、そして静かな一室で書かれた。一九二九年の後半期をフランス・ドイツ・イギリスで暮したわたしは、ふたたびモスクワへ帰って来たとき、どんなにつよくモスクワの生活に漂っているよろこびの感情に心をうたれたろう。フランスでも子供を見た。イギリスにも子供はどっさりいた。だけれども、ほんとにまじりけない生きている
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