一人の婦人作家が自由な声をあげようとすると口を抑えられ、少し動こうとすると、すぐその自由を奪われている間々に、口を抑える指のすきから、辛うじて自由が身に戻っている僅かの時間に物語った物語があつめられていると云える。三二年から足かけ十三年の間に、わたしが奴隷の言葉をもってにしろ、ものをかき発表することの出来たのは、途切れ途切れに三年と九ヵ月だけであった。
一九四七年十二月
[#地付き]〔一九四八年一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:「宮本百合子選集 第四巻」安芸書房
1948(昭和23)年1月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全3ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング