「圧しつけ[#「圧しつけ」に傍点]られてこそ味の出る沢庵」と、搾取と闘おうとするわれわれの当然の意気組みをそらすような一番始末にいけない「諦め」でフぬけとなるよう、塩梅しているところは巧なものである。
男や軍人が書いたのでは陳腐だというので、警察官の女房などにわざわざ「満州里遭難血涙記」を書かせ、公爵近衛文麿の戦争をけしかける論文。今ジェネヴで「泥棒にも三分の理」にさえならぬ図々しい屁理屈をこねている日本帝国主義の三百代言松岡洋右の提灯もちなどとともに、大衆を犠牲として恐慌を切りぬけようとする支配階級帝国主義戦争強行のチンドン屋の役を相つとめている。
「物価暴騰時代。損をしない心得」この記事をよんで、『キング』が大衆の支持を失う日はもう見えていると強く感じた。
軍事経済政策で日用品の物価はこの五ヵ月間に三割近くあがったが、損をしないためには、「干饂飩なんかは一年分位買いため[#「干饂飩なんかは一年分位買いため」に傍点]」「米の如きも少しは買いためておけば[#「米の如きも少しは買いためておけば」に傍点]」いい。そういうことが書いてある。
これを読んで「ふん」と思わないものがあるだろ
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