「母の膝の上に」(紹介並短評)
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)所謂《いわゆる》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一週二十五|志《シリング》の月給で、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九二三年十二月〕
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結婚――妻としての生活を有する女性、又は母として家庭生活の必然を持つ女性と職業との関係は、理想に於て如何あるべきか。
現状はどうであるか、と云う問題は、私共女性にとって、更に直接な考慮を要求しています。
女性が自己の自覚したと同時に起った困難な心魂の訓練を要する問題です。
箇人とし自己の生活を拡張させて行きたい慾求。それは、十九世紀後に於るように、徒な男性に対する反抗によるものではありません。人間とし、男が天性に従って仕事を選び、その仕事の裡に、ただ、食い、眠り、死んで行く箇体の生物的生存以上の生命を見出して行くと全く同じに、女性の中にも、内心のやみがたい性格的渇望に押されて、仕事を、持たずにいられない多数の人が出来て来たのです。東洋にばかり根を張ったとされる牢の
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