「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)
宮本百合子訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)玉章《たまづさ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)けれ共|流石《さすが》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「竹かんむり/(金+碌のつくり)」、第3水準1−89−79]

*:注釈記号
 (底本では、直前の文字の右横に、ルビのように付く)
(例)中納言*
−−

     葵の前

(高倉)
 其の頃何より優美でやさしいことの例に云い出されて居たのは中宮の御所に仕えて居る局の女房達がめしつかわれて居た上童[#「上童」に二重傍線]の中に葵の前と云って陛下の御側近う仕る事がある上童が居た。およびになるほどの御用がなくっても主上は常に御召になって居るので主の女房も召しつかう事が出来ずかえって主の女房が葵の前を御主人のようにもてなしていらっしゃった。昔のひなうたに「女を生んでも悲しんではならない。女は運よくさえあれば妃ともなれば又妃は后ともなると云う事が
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