「道標」を書き終えて
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)市民【ブルジョア】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)むら[#「むら」に傍点]
{}:親本の脱字を補った箇所
(例)書きはじ{め}かた
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「道標」は、「伸子」から出発している「二つの庭」の続篇として、一九四七年の秋から『展望』誌上にかきはじめた。第一部、第二部、第三部とずっと『展望』にのせつづけて一九五〇年十月二十五日に、ひとまず三つの部分をおわった。
一つの雑誌が、あしかけ四年かかって、ほぼ三千枚の小説を連載しきったということは、風変りな仕事であった。一部の終るごとに、わたしは弱気になって、編輯者の重荷になりはしまいかと心配したが、編輯の方では、ほかの雑誌ではしない仕事としてやっているのだからかまわないということで、とうとう第三部までのせ終った。第二部をかきはじめるころ、『新日本文学』にのせたいという話が出て、『展望』も新日本文学へならば異存をいうすじもないという考えだったし、わたしももとより異議なかった。しかし、その話は、立ち消えて、やはり同じ誌上
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