女の一念もゆき方によっては非常によい結果と、その反対の悪い結果を来すものです」
女学生への訓話めいているこの言葉は、市民的素直に止って、芸術家松園の内面の紆余曲折を語りあかすには足りないのである。
同じ女が波瀾をしのいで生きるにも、画の世界と文学の世界とではちがったもののあることをも感じる。そしてこういう表現をとる生活への心配りが、やはりこの天分ゆたかな婦人画家の努力の一面となって、今日あらしめているところに女の生活への伝統の力がうかがわれる。
計画された意思のつよさという点で、藤村を何となし思いくらべさせる。
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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