「市の無料産院」と「身の上相談」
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
−−
今日、東京朝日新聞を見たら、フトこういう記事に目がとまりました。
[#ここから2字下げ]
近く市が建設する理想的な無料産院
貧しい人々の間に差しのべる温かい救いの施設
[#ここで字下げ終わり]
これは耳よりな話だ。そう思って読んで見ると、その無料産院というのは、予算十二万円。建物二百坪。コンクリートの二階建て、産院は細民カードに登録された家庭の婦人をお産の前後二週間四十人収容できるものなのだそうだ。
そして、一緒に建つ姙婦健康相談所で、プロレタリア婦人の避姙の相談にものり、産院で子を生ませてもらっても、とうてい育てられないほど困った時には、附属の乳児院の方で六ヵ月乃至一年間預り、または院外保育児として、里子に出し、その費用も同院でフタンする。
この産院は、これまでにある市内の児童相談所のうち五ヵ所に属している牛乳無料配給所とも共同して働く。
こんな完備した設備の産院は日本ではじめてばかりではな
次へ
全8ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング