い。東洋一だ。「失業と多産のためにほとんど飢餓にひんしているこの階級の親たちにとっては全く天来の福音である」と新聞の記事はかきたてている。
プロレタリアートの姉妹たち!
われわれはこの記事から、プロレタリアの女として、どんな「天来の福音」を感じることができるか。
資本家の政府は、こわくなって来たんだ。資本主義経済の行きづまりで失業者をドシドシ往来にホッポリ出している。日本だけで二百五十万人の失業者とその家族とが、ほんとに飢餓に瀕して死を目の前に見ている。
万年失業におとされたプロレタリアの妻、母ほど、切ないものはない。何としたって、資本主義の世の中がかわらない限り、この地獄はつづくことを、プロレタリアの婦人はハッキリ見るようになって来た。
そこで何か目先のゴマ化しで、プロレタリア婦人の根づよい怒りをはぐらかそうとしてこういう産院建立も考え出されたわけなのです。
われわれはこういう記事をよむと、一層の階級的憤怒を感じる。だってそうではないか、姉妹!
市の細民カードとはどんなものか? 政府の失業登録と同じに、できるかぎり標準をひくめ、数をへらそうとして仕くまれているものだ。し
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