乳代をもらう。それだけの設備と権利がある上で、避姙や人工早産がゆるされているのです。
 温情主義で搾取して、慈善設備でプロレタリアの母から子を奪う資本主義の文明をわれわれは徹底的に批判しなければならない。
 女も手を握り、階級として立ち、せめて、よろこんで母になる権利を認めるプロレタリアの社会を一日も早くつくろうではないか。
 手近いところで、われわれプロレタリアの病院、無産者病院をみんなの力で、強く大きいものにしてゆくこと。
 更に団結した力とハッキリした指導にしたがって、資本主義の社会施設を真にプロレタリアートの利益のために使えるものとしてゆくこと。
 われわれの毎日の生活の中には闘うべきことが多くある。プロレタリアの母のための産院の問題などもこの一つです。

 ところで、ここにもう一つこういう事がある。
 昔から女は相談相手というものを持たなかった。毎日の生活の中でいろいろの思案にあまることが起った場合、夫や親や友達に相談もできることじゃないし、また相談したところで満足な解決は得られないという時、プロレタリア婦人はいつも困って来た。
 組合に入っていたりするひとは、そういう時でも
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