ソヴェトの五箇年計画は、どんなにソヴェト同盟内の社会生活を飛躍させたか、生産における社会主義的前進が、ソヴェトの一般芸術をどんな力で、強固なプロレタリア・リアリズムの大道へ据えつける結果となったか。それ等について、ホントに知りたい読者は、どうか、今に出るそのプロレタリア芸術講座をよむなり、『ナップ』を読むなりして欲しい。
 ところで、ここではなにを話そうか。――そう! 一つ、ソヴェトの文学研究会のことを書いて見よう。
 ソヴェトの勤労者は、ブルジュア国の勤労者のように、工場や役所で搾られるばっかりで暮してはいない。間にたって利益を吸いとる者のない生産のための生産をやっているのだから、根本は一般勤労者の生活水準を高めるのが目的だ。産業別の生産組合は、或る一つの企業をやるとき、必ず天《てん》から勤労者福祉資金何割というものを予算に加えて仕事をはじめる。
 五箇年計画でソヴェト同盟の中には、水力発電所、工場、集団農場、夥しくふえた。ソヴェトで工場が建ち集団農場が一つふえたということは、だから必ず同時に、そこには労働者クラブ、托児所が建ち或る場合にはごく新式の設備をもった住宅さえ立ち並ぶこ
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