前の妹のことを気に病むなどということもないでしょう。
夫婦は、つまり同志でなければ、われわれの場合うまく、力を揃えてやって行けるものではありません。
二人の子供を、自分の腕で食わせる覚悟をしてその方法を見つけるか、また良人が、そんな女に子供は渡せんと子供をあなたからとってしまったとしても、覚悟は一つであろうと思います。
あなたの毎日の生活は工場やその外の職場で働いている労働婦人の生活とはちがい、本でよんで勉強し、争うといっても家庭の中で良人と理屈からはじまっての争いをやるので、この五銭をキリ下げられて俺達は食って行けるか! と資本家につめよる必死なプロレタリア、農民の争いとは、良人の方にしろあなたにしろ、腰の据わり工合がちがいます。
暮しのユトリは考えのユトリをも与えているのです。然し、暮しのユトリと云ったところで、中流家庭の小さい安定などというものは今日ドシドシ崩れ、プロレタリアの陣営に加わって来ている。
女が女として幸福に暮らそうと本気で願えば、本当に婦人を解放し、母となる権利も同時に十分認めて保護してくれるプロレタリア、農民の世の中にしたいと努力せずにはいられない。
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