つものせられない。何故でしょうか。ああいう新聞や婦人雑誌に資本をかけてやっているのはみんなブルジョアだから、そういう自身の利益とは反対なプロレタリア、農民の運動の正しさとやむにやまれぬ力を知り自分の暮しの経験から知り、自分もその仕事をやって行きたいと思って苦しむような婦人の相談には、のってくれないのです。よしんばのってくれたにしろ、キットあなたの御良人の兄さんの大本教信者のように「母は子供のギセイになれ」とか「家庭のことだけしていればよい」とか答えるのが落でしょう。
われわれは違います。こういう問題は、あなた一人だけのことではなく、いろいろな年齢の、いろいろの境遇の婦人が、真面目に考え、苦しんでいることだと思えるのです。
さて、あなたの旦那さんは、会社へ勤めておられるそうですが、その会社で良人の方は大株主ででもあるのでしょうか。重役とか? または格のいい主任級の方でしょうか。
なぜというに、この頃のギリギリと行きつまった世界の不景気時代、タダの会社員だったらいつ会社の都合でクビになるかしれたものでない。クビになったら、又別の口はなかなか見つからず、退職手当と云ったって、涙金です。
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