「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する
宮本百合子

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 本日の会には是非出席いたしまして、お話を伺いたいと思いますが、健康がまだ無理なので失礼いたします。そして、もし出席いたしましたら、発言したいと考えて居る点について、簡単にのべます。
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一、「チャタレー夫人の恋人」の翻訳者並に出版者が起訴されることに決定したことについて、抗議します。
二、抗議の理由は、すでにこの事件のはじめから多くの方々によって公然と書かれまた語られているとおり、「チャタレー夫人の恋人」は本質において文学作品であって、ワイセツを目的として書かれたものではないからです。
三、他の国々で「チャタレー夫人の恋人」が、文学作品としてよむことの出来ない年齢の読者や教養の低い人々にとって、のぞましくない影響をもつからと言って、部分的に削除したりしている、という実例は、こんにちの日本の検察力で、起訴してよいという口実にはなりま
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