ほど、その保証はあった」
大佐は冷笑を浮べて、
「保証よりは馬を早く戻してもらった方がいい」
私がホームズのために弁明しようとしたところへ、彼は入って来た。
「それでは皆さん、いつでもタヴィストックへお供いたしましょう」
私達が馬車に乗ろうとすると、一人の若者が扉《ドア》を押えていてくれた。ホームズはつと何か考えついたらしく若者の袖を引いて訊ねた。
「調馬場の柵の中に羊が少しいるようだが、誰が世話するのかね?」
「私がやりますんで」
「近頃何か羊に変ったことはなかったかね?」
「へえ、大したこともございませんが、三頭だけどういうものか跛《ちんば》になりましたんで」
ホームズはいと満足げだった。ニッコリと笑って、頻りに両手をこすり合せていた。
「大変な想像だよ、ワトソン君、非常に大胆な想像が当ったよ。グレゴリさん、羊の中に妙な病気が流行しているのは、大《おおい》に御注意なさったらいいと思います。じゃ、馭者君やって下さい」
ロス大佐は依然としてホームズを軽蔑するらしい顔をしていたが、警部はいたく注意を喚起させられたらしかった。
「あなたはそれを重大視されますか?」
警部はいった
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