ったんでしょうね?」
「そうです。まだ二階に置いてあります。検死は明白ですから」
「ストレーカは永年あなたのところに働いていたんですか、ロスさん?」
「はい、いつもよく働いてくれました」
「警部さん、ストレーカの死体のポケットに何が入っていたか、お調べだったでしょうね?」
「ごらんになるなら居間の方に全部まとめてありますから」
「ぜひ見せていただきたいものです」
 [#空白は底本では「「」]私達一同は表の間へ通って、中央のテーブルを囲んでそれぞれ席についた。すると、グレゴリ警部は四角い小さなブリキの函《はこ》を取出し、鍵で蓋をとっていろいろな品物を私達の前へ並べてみせた。蝋マッチが一箱、二|吋《インチ》ほどの獣脂蝋燭が一つ、A・D・印のブライヤのパイプに長刻みのカヴェンデッシュ煙草を半オンスばかりつめた海豹《いるか》皮の煙草入れ、金鎖のついた銀時計、金貨で五ソヴリン、アルミニュウムの鉛筆さし、書附二三通、『ロンドン、ワイス会社製』と刻印された非常に細く鋭い、それでいて曲りにくい刄を持った象牙柄のナイフが一つ。[#「。」は底本では「」」]
「これは非常に変ったナイフだ」
 ホームズはナイ
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