ったわけなんでしょうが、たちまち寝返って密告しちまったんです。そこでブレシントンの密告のおかげでカートライトはとうとう主謀者と云うので死刑にされ、他の四人のものはそれぞれ十五年間ずつの刑を着せられたわけです。――が、やがてそれらのものも、各々特赦などに会って、十五年たたないうちにまた社会へ出て来ることになったわけです。そこで彼等は、自分たちを売って刑を着せたり、また仲間の一人を死刑にしてしまったりした男に、復讐をしようと計画したわけなんです。――彼等は二度計画して、二度とも失敗したんです。そして三度目にようやく成功したわけなのです。――と、まあ以上のようなわけなんですけれど、まだどこかお分かりにならない所がありますから、トレベリアン博士」
「いえ、実によく分かりました」
と医者は答えた。
「そう云えば思い出します。彼等が助かってまた社会へ出て来たと云う記事が新聞へ出た日、彼はひどく神経をいためていました」
「そうでしょう。――ですから彼が起こした強盗騒ぎなんか、みんな嘘なんですよ」
「けれど、どうして彼はそれを打ちあけなかったんでしょう?」
「それはなんですよ、自分の昔の仲間がどんな
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