ったんです。――奴等の名前は、ビッドルとヘイワード、それからモーファット、とこの三人です」
「ああ、それじゃ、あのウォーシントン銀行事件の発頭人じゃありませんか」
探偵は叫んだ。
「その通りなんです」
ホームズは云った。
「そうするとブレシントンはシュウトンに違いありませんね」
「そうなんですよ」
ホームズは答えた。
「またどうしてあなたは、まるで鏡に写し出すようにハッキリそれがお分かりになったんです?」
探偵は云った。
しかしトレベリアンと私とは、何が何だか分からないのでお互いに目を見合っているばかりだった。
「諸君は、例のウォーシントン銀行事件と云うのを知っているだろう」
とホームズは云った。
「あの事件の中には五人の人物がいる。すなわち今いった四人と、それから五人目の男はカートライトと云ったんだ。トビンと云うその銀行の留守番を殺ろして、七千|磅《ポンド》を奪って逃たんだが、それは一八七五年のことだったんです。ほどなく五人のものはみんな捕まったんですが、相憎なことに証拠がすこぶる不充分だった。ところがこのブレシントンすなわちシュウトンなる男が、この男がまあ一番悪がしこか
前へ
次へ
全49ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三上 於菟吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング