》で徒党を組んでいたのですが、あのエルシーの父はその首領でした。悧※[#「りっしんべん+巧」、126−1]な人で、パトリック老人と云ったものです。この暗号を案出したのも彼ですが、これはもうあなたがこれを解く鍵を持っていなかったら、ただ小供のいたずら書としか思われないものですからね。さて、あのエルシーは私共のすることを多少気がついたのですが、しかし彼の女は、こうした仕事を見ることはもう堪えられなかったのですな。そして彼の女は自分の、これは公明正大な金を多少持っていたので、私達の中から抜け出して、ロンドンに遁げて来てしまったのです。私は彼の女とは婚約の仲でしたが、これは私は今でもそう思っているのですが、もし私が商売替えをしたら、彼の女はきっと私と結婚してくれたに相違ありませんでした。彼の女はかりそめにも不正なことに対しては、掛り合いを持ちたくなかったのでしょう。そして私がやっと彼の女の居所をつきとめた時は、彼の女はもうこの英国人と結婚していました。それで私は手紙を出しましたが、しかし返事はくれませんでした。私はそれでこっちに海を越えて来たのですが、手紙はもう何の役にも立たないので私は、あの
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