けでしょう?」
「女と云うものは、本能的に窓を閉めて、しかも締めつけるものではないですかね。ああ、おやおや、――これは何だろう?」
机の上に婦人の手提袋《ハンドバック》があった。気のきいた小さな、鰐皮のものであった。ホームズは中のものを取り出した。その中には、英蘭銀行の五十|磅《ポンド》紙幣二十枚が、印度ゴムのバンドでしばられて入っていた外《ほか》、あとは何にもなかった。
「これは法廷で必要だろうから、よく注意して保管しておくように」
ホームズは中味をしっかりと入れて、その手提袋を、検察官に渡しながら云った。
「さて今度はこの第三弾の正体をつき止めなければならないことになった、――もっともこれは木の裂け具合から見て、明かに内側から発射されたものだが、――さて料理女《コック》のキングさんにちょっとききたいが、あのキングさんあんたは、とても高い爆音に目をさまされたと云ったが、これは最初の一弾が、次の爆音よりも大きかったと云うことかね?」
「はあ、左様でございます。わたしはその音で、目を醒ましたのでございましたが、どうもはっきりとはいたしませんが、とにかく大変大きな音でございました」
「
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