が、このころの僕は煙みたいにフラフラして、地についていない、生意気な学生だったんだ。本を読むことのむだを知り、僕の頭の従って、カラッポであることを自覚した僕は、生活を得ようと考えたんだ。生活は学校を出て、その免状で月給にありついて、その範囲外は家からの補助で送るのが、生活じゃないことを僕はさとったんだ。生活とは、燃えるものだと僕は思ったんだ。焼け尽くすような、爆発するようなものが生活だと僕は考えたんだ。おれは親の金で教育を受けている。それやおれが生きてるという事にはならないんだ。おれが生きてるためには、おれが自分を活《い》かさなきゃならないんだ。おれは、おれの腕で食おう! と僕は決心したんだ。そこで、僕は毎朝、下宿を弁当を持って出て、友人の所へ書物を預けて置いて、工場を回り歩いた。そして、Aという工場に旋盤見習いではいった。
工場生活は、非常に苦しかった。学生の生活とくらべて、溝《どぶ》のように悪かった。朝から夜まで、仲間の労働者さえも、見習いの僕を敵視するように思われた。単純に物事が運ばなかった。僕は、今ではあたり前だと思っているので、自分でも驚くのだが、『伍長《ごちょう》のところ
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