いかぶさった「苦役」と、「困窮」とであった。それをあやつっている資本制の糸であった。彼らは、自分たちのやっていたことと、藤原のやっていたこととがまるっ切り違ったことであって、そのくせ一つものを目あてにしていたのだと言うことをさとった。彼らはものにはやり方があると言うことを教わった。
これまでは彼らは「一つ釜《かま》の飯を食う」仲間の関係であった。だが今では、それ以外に「労働者としての階級」に属する同志だという感情がつけ加えられた。それは彼らの間を妙に強く緊《くく》りつけ、親密にしたようだった。
「女郎買い」の友だちから「牢獄《ろうごく》まで」もの同志の関係に押し進められた。
それは、藤原が説き奨《すす》めたためであっただろうか、あるいは彼が「煽動《せんどう》」したものであっただろうか。だれか一人《ひとり》の力がそれほど多くの人を動かしただろうか、それは、もしそうであるとしたら、その多くの人は自分自身の意志に反してまでもそうなったのであろうか。それは暑い空気の中で人々があえぎ、寒い空気の中で人々がふるえるのと同じく、資本制経済の下《もと》に労働者が一様に抱《いだ》いているところの、
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