長は、意外に、水夫らが結束を固めているのを見た。それは、発作でもなかったし、衝動でもなく、計画されたものであったのを知った。
この時、火夫室ではまた、喊声《かんせい》が上がった。それがサロンへ響いて来た。
出帆時刻は、どんどんとおそくなる! 正月はどんどん近くなる!
船長は、いら立って来た。
「西沢、貴様はどうだ。宇野《うの》(捺印した舵手《だしゅ》)、小倉、貴様らも同意した、捺印したんだな。よし、チーフメーツ! ボーレンへ至急行って、水夫四人、コーターマスター二人《ふたり》、ボースン一人《ひとり》、――とうとうボースンにも祟《たた》りは来た――すぐ、万寿丸へ、チャンスだといってくれたまえ、そして、こいつらを乗船停止を命じて、それを雇い入れてくれたまえ、出帆が、あまりおそくならないように、今からすぐかかってくれたまえ!」彼はチーフメーツに命じた。
その結果は、水夫らは、昨日《きのう》からもう知っていたのだ! 室蘭じゅうのボーレン(それは半素人《はんしろうと》のも入れてたった三軒切りないのだ)――に、昔船のりだった、そのボーレンの主人が二人と、一人の沖売ろうとがいるだけなのだ!
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