りあったそうだが、仁威丸《じんいまる》に、便《びん》を借りて浜へ帰ったそうだ。室蘭なんぞじゃ雇い入れする船はないそうだ」小倉が言った。「だから、たとい四人でも五人でも、時機さえしっかりつかまえれば勝てると思うよ」
「だから、その要求条件を、ここで作ろうじゃないか」西沢が言った。
「それは、藤原君に草案が一任してあるから、それでもって作って行こうじゃないか」波田が言った。
そこで、藤原の原案によって、新しい要求条件が、巻き重ねられたロープの上で、その夜十一時ごろまでかかって作り上げられた。
それは、
[#ここから字下げ(「漢数字+読点」ではじまる文頭は2字下げ、それ以外は3字下げ)]
一、労働時間を八時間とすること。(現在十二時間以上無制限)
八時間以上は、必要なる場合労働するも一時間に付き、正規労働時間の倍額の賃銀を支給すること。
二、労働賃銀増額、――水火夫、舵手《だしゅ》、大工ら下級船員全体に対して、月支給額の二割を左の方法によって増給すること。
方法、下級(下級とは何だ!)船員全体の月収高の総計の二割を、下級船員の人頭数に平均に配分し、これを在来の賃銀に付加すること。
三
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