。実際だね。僕だって、もう二十五になるんだからね。恋も、愛も十分に知ってるさ。その時に、もし、そんな処女に病院で出会ったらだね。この糞のにおいのする仕事着にでも近づいて来るだろうかってことを考えてるんさ、ハッハハハハハ」彼は笑った。その笑顔《えがお》の中には全く、処女湖に宿す、処女林のような純な表情があった。
「だって、君は、自分でも言ってるじゃないか、『女難|除《よ》け』にはこの菜ッ葉が一等だって、そうだと、もちろんその娘だって例外じゃないぜ」小倉が言った。
「悲観悲観、おれが女のことなどいい出したのが、よくねえんだな、おれの妹だって、こんなきたない労働者とは結婚したがらねえだろうからな。ハッハッハハハハハ」
「それは全くだよ、波田君」藤原は感に堪《た》えぬようにして言った。
さてしたく、――それは、その通すべきところへ、手、足を通して、はめるべきところへボタン、靴《くつ》、帽子とはめればいい――はでき上がった。全く波田は「女難|除《よ》けのお守り」であった。新米の乞食《こじき》などは、彼より立派な風《ふう》をしていた。彼の髪と来たらなれた乞食と区別がつかなかった。
波田は
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